工農技術研究所代表 寺門孝
ITQI(国際味覚審査機構)に日本から弊社が始めて出品した完熟のイチゴに評価がくだった。
2015年4月27日、すでに最盛期を過ぎたイチゴにとっては、かなり過酷な審査であることではあった。受賞は宇都宮大学と当社にとってよい宣伝になることはわかっていたが、内心受賞できるかもしれない期待と、季節外れの完熟イチゴは駄目かも知れない心配が交錯していた5月の連休明けに、結果は柏嵜准教授の元に届いた。
2つ星の入賞の連絡だった。早速現地の知人に連絡し、6月4日の授賞式に出席する準備を始めた。身だしなみの注文もあった。黒のネクタイ着用。女性はイブニングドレス。
どんな盛大な儀式になるのか創造もつかなかったが、黒の蝶ネクタイと体にフィットした細めのワイシャツを準備した。
日本発は時差ぼけ対策のために6月3日にし、ブリュッセル入りをすることに。
現地に3日午後4時過ぎに到着。知人山下君の迎えの車で、市内のホテルに向かい、日の暮れないブリュッセルで知人の水野君と3人で遅めの夕食と久しぶりのビタービールを味わった。
授賞式の朝、ヨーロッパでは珍しく早朝から雲一つない晴天。受賞式は夕方6時から始まる。本日着用するスーツ、ワイシャツ、白の胸ハンカチ、黒の蝶ネクタイ、靴などを点検し、落ち着いたところで、ブリュッセルの朝の散歩と洒落込んだ。歩いてみると以外と高低差のある街。いたるところが煉瓦のデコボコ歩道。慣れない歩道を北進。迷子にならないように上りくる太陽と、煉瓦作りの建物の隙間からそそぐ日の光をコンパスに2~3百年もの歴史ある市街地を散策。気の向くままに時間を過ごし、午後3時からホテルで、水野君の迎えを待つことにした。
夕方5時過ぎに友人の水野君の車で、ブリュッセル市内の高台に位置する表彰会場“コンサートホールノーベル”に向かった。6時開場だが現地には5時半過ぎに到着。大勢の出席者が車で集まっている最中だった。
早速チェックインの手続きを済ませると、iTQi欧州本社、和服振袖姿の女性社員の案内で会場内へ。参加国約50、審査に入賞した商品1400点。参加者約360名。審査に加わった欧州のシェフおよそ20名。授賞式会場にはまだ案内されず、会場前のレセプションルームで、ワインや、シャンパン、色とりどりの飲み物がふるまわれていた。日本から参加した受賞者の方々と挨拶を交わししばし歓談。フレシェルイチゴの審査に当たったシェフさんたちと言葉を交わし記念撮影をして戴いた。
クラッシックオーケストラの音楽も中で、開会の案内が放送され会場に案内された。壇上を見上げると参加国の国旗が壇上の後方袖の左右を埋め尽くしていた。
すでに壇上には、チーフシェフが横一列に座っており、我々受賞者たちは、案内に従い会場内の椅子に落ち着いた。高い天井を見上げると、直径2メートルを超えるだろう輝くシャンデリアが16個。しばらくするとiTQi理事長のChristian DE Bauw氏の挨拶と開会宣言があり、壇上のシェフ方々の後方に縦3m横8mほどの大きなオーバーヘッドスクリーンにiTQiの解説と歴史が映し出された。
式次第は理事長の議長で進められた。表彰の順序は、会社名(英文)のABC順で進められ、スクリーンに会社の案内や、商品の写真が紹介され、最後に受賞の内容が紹介された。我がフレシェル入りイチゴも同様の順序で、紹介された。2つ星の結果を告げられると先ほどお友達になった日本からの受賞者の方々も立ち上がって拍手をしてくれたのが印象的だった。360社の表彰が終わり、その後3年連続3星の商品にクリスタル賞が贈られ、関係者が壇上に上がり、理事長、チーフシェフさんたちとの記念写真をした。日本から参加し続けている鹿児島県の水“天の恵み”は7年連続の3つ星でダイヤモンド賞を受賞した。
授賞式が終わり、先ほどのレセプションルームがパーティ会場に模様替えがされていた。
立食パーティ会場には、授賞式で手にしたメダルや表彰状をもって、記念撮影する各国の関係者の塊が出来ていた。レセプションの緊張した雰囲気とは打って代わり楽しい雰囲気になっていた。すでに9時を回りまだ終わる雰囲気のないパーティ会場にお開きのアナウンスが流れ、混雑を避けて、小職は早めのおいとまを決め、知人水野君の迎えを頼み、荘厳で盛大に行われた2015年iTQi授賞式会場を後にした。